私が小学校5年生までを過ごした街、北坂戸。
子どもの頃の記憶にある北坂戸は、巨大な団地群にたくさんの家族が暮らし、駅前に行けば買い物客で行き交う、活気に満ち溢れた街でした。しかし、大人になって久しぶりに訪れるこの街は、東武ストアの跡地は更地のまま、駅前の商店街はシャッターが閉まっているままなど、子ども時代を過ごした30年前と比べてだいぶ寂れてしまっています。
そんな北坂戸ですが、ようやく駅周辺の本格的な再開発が始まるというニュースを耳にしました。この大きな変化に伴い、私の思い出がたくさん詰まっていて、子供のときに何度も訪れて遊んだ「溝端公園」が取り壊されることになったそうです。
思い出の場所が消えてしまうのは本当に寂しい。けれど、それと同時に、空き地や廃墟だらけになってしまっていた駅前が、未来に向けて新しく生まれ変わり、また盛り上がってくれたら嬉しいなぁと思いました。
で、工事が始まる直前の5月下旬。とある平日に、わざわざ有給休暇を使い、思い出の風景が変わってしまう前に、私は自分の原点であるこの街をがっつりと散策してみることにしました。
ランチは「龍門」
車で下道で約2時間。平日の昼間の幹線道路を走ってきたからなのか、交通量が多く疲れた…。腹が減った…。13時頃に北坂戸に着き、まずはどこかで昼食を摂ることに。
北坂戸と言えば、やはり「龍門」でしょう。北坂戸で長年親しまれている中華のお店。一体、何十回ここで家族でご飯を食べに来たことか。子どものときは野菜が苦手だったからチャーハンしか食べたことがなかったが、そのチャーハンがとても美味しかった。2階には回転するテーブルがあったり、スタッフが台湾?中国?の方だったりで、本格中華のお店だったと記憶している。
来店。店の構えと店内はあの頃と変わっておらず嬉しかった。恐らく30年以上ぶりだが、凝った作りの龍のオブジェなどを久しぶりに見て嬉しかったなぁ。
ランチメニューはリーズナブルでボリュームもありそうで良い感じだが、やはりここは思い出の味、チャーハンを注文。
いざ実食。
美味しい!
けど、あの頃の固くて噛み応えのあるチャーシューは無くなっていた。
あとグリーンピースは相変わらず入っていたが、ニンジンとコーンも追加されている!いわゆる「ミックスベジタブル」というやつだ。私は大人になってもこの魅惑の3種類の野菜の組み合わせがどうにも好きじゃない…。
でも、卵はふんわりで全体的に優しい味で食べやすく、れんげを口に運ぶのが止まらない。さすがに30年以上前の味からは変わっていたが、美味しかったので満足。ご馳走様でした。

目的地の溝端公園へ
腹ごしらえをして、いざ目的地の溝端公園へ。事前に10台ぐらい停められる無料駐車場があると調べていたが、行ったら1台しか空いていなかった!運よく駐車できて良かった。
食後なので10分ぐらい休憩しつつ、車内でランニングの格好に着替える。
そう、本日はただ散策するんじゃなくて、軽くジョギングしながら北坂戸の街並みをぶらぶらしてみることにしました。
街並みを写真に収めるにはあいにくの曇り天気だったが、走る分には直射日光は無いし、気温も25度ぐらいで暑すぎず、ジョグするのに快適な気候で良かった。
着替えたり、走る準備をして、溝端公園の中を散策してみた。
が、こんなに狭かったっけ?溝端公園はでかい野球場があると記憶していて、たまに父親がここで草野球していたから応援に何度か行っていたが、思ったより狭かった。
あと、友だちと数えきれないぐらい遊んだ遊具コーナーは、「箱ブランコ」はご時世的に当然かもしれないが撤去されていた。「箱ブランコの椅子に座らないで、外側に立って立ち漕ぎしたよなぁ。」と感傷に浸っていたが、思い出の風景よりも全体的に「小さい」と感じて、大人になったんだなと実感した。
と、溝端公園は思いのほか見るところが少なく、周辺をぶらぶらしてみることにした。

喪失感と、まだあったんだという喜び!
30年ぶりにガッツリと生まれ育った北坂戸を散策してみたが、思いのほかあまり変わっていなくて、記憶通りの風景で嬉しかった。
でも、変わってしまったことや無くなってしまったことは沢山あって…
無くなってしまったもの
- 母校の北坂戸小学校
廃校になったのは知っていたけど、一体何年野ざらしなんだろう。校庭は草が生い茂っている。ここでサッカーの練習を毎週やっていたんだよなぁ。
だけど、この度の再開発によって、跡地が決まったとのこと!
「さかりんパーク」という大きな公園に生まれ変わるそうな。良かったー。市民の憩いの場になってほしいです。 - 産婦人科
私が生を受けた産婦人科が閉院になっていた…。父親も立ち会ったらしいんだけど、私がなかなか生まれないので、しびれを切れして近くのパチンコ屋で時間を潰している間に生まれたそうです。
そんなエピソードは置いておいて、地域から産婦人科が消えるのは少子化について考えさせられますね。 - そのパチンコ屋
「マルチャン」って言ったかな。道路をはさんで溝端公園の向かい側にパチンコ屋があったんだよなぁ。夏にこの店の前を通ると冷房の風が吹いて気持ちよかったなぁ。パチンコ屋は閉店が相次いでいるから仕方がないですね。 - 団地の11街区入口にあった桜の木
私は北坂戸団地の11街区に住んでいて、毎年春になると11街区エリア入口にある木に桜が咲き乱れていて、一人でよく眺めていました。春が来るのが楽しみでした。が、木の老朽化もあるのか、切断されていました。あの光景は思い出にしまっておこう。 - 友だちの家
小学生時代の友だちの家の前を何件か通ってみました。表札が変わっていたり、家自体が無くなっていたりということがちらほら…。みんなどこかで元気に過ごしているなら良いな。 - その他、色々なお店
行きつけだった文房具屋の一心堂。駅前のマクドナルド、ケンタッキー。北坂戸のランドマーク東武ストア。コロッケと焼き鳥をよく買ってた肉の新井屋。回転ずし屋。私が通っていた北坂戸幼稚園。弟が通っていた保育園。シャトレーゼ。サンディの旧店舗。和菓子の若林。ファミコンショップ桃太郎。どれも思い出があるけど無くなっていた。それだけ年月が経っているんだな。
逆にまだあったんだ!と嬉しかったもの
- モリタ
駄菓子屋「モリタ」。
北坂戸に住む子どもたちのほぼ100%が行ったことあるんじゃないか。駄菓子を買って、目の前の栗の木公園で夕焼けチャイムが鳴るまで遊ぶという、当時の北坂戸キッズの定番コース。
栗の木公園も久しぶりに行ったけど、あんなに小さかったっけ。ちょっとした丘があるんだけど、子どものときは小高い山のように見えたんだけどなぁ。
昔は店の外に格闘ゲームの筐体が置いてあって、よくここでKOFをプレイしてました。弱かったけど。
瓶のコーラの自販機も置いてあって、よく冷えていて美味しかったなあ。 - タケダ
自転車屋の「タケダ」。よく自転車の空気を入れに行きました。パンクも修理してくださいました。看板のタケダのフォントが独特で、タが数字の9に見えるのも当時のままでした。 - 団地の下の階に住んでいた方!
私が住んでいた団地の棟にも行ってみた。さすがに懐かしい。泣きそうになる。
表札を見てみると、ご近所付き合いをしていた方の表札が掲げられていた!
月日が流れた今も、同じ場所で生活を続けられていることに、深い感慨を覚えました。
今から菓子折りでも買ってきて、「30年前に上の階に住んでいた〇〇です。家族一同お世話になりました。」とあいさつをしようかと少し考えたが、お相手からしたらさすがに30年も経っているから覚えていないだろうし、突然の訪問は怖すぎるしキモイだろうと思い、そのまま立ち去った。ご健在なら何よりだ。でもその節は本当にお世話になりました。ありがとうございました。



駅前のマンションの最上階から景色を眺める
北坂戸周辺をジョグしながらぶらぶら。距離が物足りないので坂戸駅の方にも足を延ばし、また北坂戸駅周辺に戻ってきて、走行距離が8㎞ぐらいになったところで、そろそろ帰ることにした。
最後に、北坂戸駅前の高層マンションの最上階に上り、風景を写真に収めて帰ることにしよう。子どものときに一度だけ、母親に連れられてこのマンションの最上階から景色を眺めたことがある。母がいうには、仕事終わりにたまにここに来て、富士山を眺めてから家に帰っていたとのこと。とても景色が綺麗でお気に入りの場所だったそうだ。
一度だけの経験だったが、その景色を鮮明に覚えていて、また見てみたいと思った。
ジョギングした後で汗を流し、変なサングラスをしている短パンの中年オヤジは、マンションの下でエレベーターを待つ。2人ぐらいの住民と思しき方とエレベーターに乗る。怪しい姿で申し訳ありません。
いざ最上階。30年ぶりにその最上階へと登り、外の景色を眺めてみました。
遮るもののない絶景!なのですが、何よりもまず「高い!怖い!」という感情が勝ってしまいました。お尻のあたりがキュッとなってしまい、とても長居はできません。
しかもこの日はあいにくのザ・曇天。方角的にはきっとあのあたりに富士山が見えるはず…という景色を凝視してみましたが、残念ながら白い雲に覆われて富士山なんて見えやしなかった。


生まれ変わる北坂戸の発展をお祈りします
駅前の再開発が始まる前に行けて良かった。
ただ、ふと我に返ると、この日は平日の昼間。そんな時間帯に、短パンにサングラスというがっつりランニングの格応をした中年おやじが、スマホを片手に「懐かしいな…」「ここがあれだったな…」などと、ぶつぶつ独り言を呟きながら、涙目でパシャパシャと街の写真を撮りまくっていました。
客観的に見て、どう考えても怪しい人(不審者)だと思われていた可能性が極めて高いです。すれ違った住民の方々、怪しい者ではございません。ただの思い出に浸るおっさんでした。
しかも有休を使ってわざわざ来て、こんな内容の記事を書くなんて、この熱量を仕事に活かせれば良いのになと思いました笑
今は東京都内で暮らしていますが、何だかたまに生まれ育った北坂戸のことが気になってしまう。それが故郷を思う気持ちなのでしょうか。行ってみようと思えばいつでも行ける距離にありながら、北坂戸を離れて30年ずっと思いを馳せていました。今回がっつり散策してみて、ひとつ心のしこりが消えたような気がします。街並みが変わってしまう前に行って良かった。
これからは再開発が本格化し、見慣れた、そして放置されていた街の光景も一気に変わっていくことでしょう。寂しさはありますが、それ以上に、この街が今後さらなる発展を遂げること、そして何より、ここに住む人々にとって、温かく素晴らしい街になってくれることを願ってやみません。
ありがとう、僕のふるさと。さようなら、溝端公園。
(ちなみに再開発でイオン系のショッピングモールが出来る予定とのことです。完成イメージを見ると素敵な感じですねー。https://www.city.sakado.lg.jp/soshiki/62/53706.html)
