音楽番組『FACTORY』~あの頃の深夜のフジTV~
遡ること、あれは確か高校2年生の10月頃だったか。なのでもう20年以上前になります。
THE BACK HORNとの出会いは、フジテレビで放送していた『FACTORY』という音楽番組がきかっけでした。この番組には、あまりテレビに出ない様なライブが主戦場のバンドがよく出演していました。毎週VHS(もったいないのでもちろん3倍で)に録画し、普通のJ-POPも好きだったけど新しい発見があればなと思いこの番組をよく観ていました。
この番組で知ったアーティストを学校で友達に教えたり、CDを貸し借りしたりするのが楽しい時代でした。THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、ゆらゆら帝国、くるり、レミオロメン、スーパーカーとかはこの番組で見た後、番組でやった曲を聴きたくて、近所のゲオにCDを借りに行きましたねー。
余談ですがこの時期、他の曜日では深夜にWWEの番組もやっていました。ジョンシナとかJBL(略さずにいうと、ジョン・ブラッドショー・レイフィールド…長い笑)が王者だった頃ですね。ジョンシナは試合運びが個人的には面白くなくて、あまり好きじゃなかったなー。JBLは反則やインチキばかりなのに、ここぞというときの一発が重くて大好きな選手でした。
確かMCは謎の人選でHOME MADE家族でした。番組でラップとかするわけではなく、3人がただただ楽しくプロレスの試合を観ていました。テレビ東京でやっていたWWE中継も面白かったけど、こっちのフジテレビのWWEも個人的に好きでした。HOME MADE家族がWWEをイメージして作った楽曲もカッコよかった記憶があります。
あと『サムライチャンプルー』というアニメもやっていて、短い期間だったけど独特なタッチと雰囲気のある世界観が多感な時期の私にはドンピシャで、ハマって観ていました。
あの頃の平日深夜のフジテレビは魅力的な番組がたくさんありましたねー。
あのうるせーバンドか
話は音楽番組『FACTORY』に戻り、ある日THE BACK HORN が出演したことがあって、この回も録画していました。深夜のためリアルタイムで観れないので、放送翌日の寝る前に観ました。
THE BACK HORN の存在は知っていたのですが、イメージとしてはヴォーカルがぼさぼさの髪で、しかもうつろな表情で覇気の無い感じ、歌声はガナっていてやかましい笑 この当時、青春パンク系が流行っていて、ガナるバンドも多くて、私はあまりこういうタイプは好きじゃなかったです。テレビ東京で放送していた『JAPAN COUNTDOWN』という音楽番組があり、確かこの番組のタイアップでTHE BACK HORN の『生命線』が使われていて、「うるせー歌声だな…」と思っていました。
なので今回のFACTORYはハズレ回かなと思いつつも、とりあえずVHSを流して最後まで観ました。
この回の放送では、ゆらゆら帝国が先に出演し、THE BACK HORNが後に出ていました。ゆらゆら帝国もこれで初めて見ましたが、怪しいけど素敵なバンドだなという印象を受けました。THE BACK HORNは『幾千光年の孤独』と『未来』の2曲を披露していました。
良い意味で印象が変わった
THE BACK HORNの出演を観ると、イメージ通り、やっぱりガナっていました笑 ですがそのガナリ…というか叫びが、大げさじゃなくヴォーカルの体から魂が出てきているような、すごい迫力があったんです。決してパフォーマンスで叫んでいるのではなく、歌うための、音楽を表現する一つの方法なのかなと思いました。
特に2曲目の『未来』は、サビまでは静かで、儚いヴォーカルの歌声と、その儚さを際立たせるためなのかシンプルな演奏が続きます。そしてサビでヴォーカルが腹の底から声を出します。
THE BACK HORN の印象は変わりました。本当に聴かず嫌いで失礼だったとは思いますが、「ガナってるだけの最近流行りのうるせーバンド」というイメージから、音楽的にちゃんとしていて、ヴォーカルの表現力が素晴らしいし、何よりも歌が上手い!という印象に変わりました。
『未来』を聴いて泣いた
『未来』の最後の方で、感動のあまり自然に涙が出てしまいました。
番組のスタッフロールが流れる中、最後の大サビ部分「こーころにー、こーころにー、うーたがひーびいてー」の魂の大叫び、アウトロ部分で一定のリズムで弾くベース、ギターのさっきまでのかき鳴らす感じじゃなくて「カーン…カーン…」と規則的な連続した乾いた音、照明は白いシンプルなライティング、スタッフロールも終わり番組終了。
寒いときにだけ出ると思っていた鳥肌が、私の毛深い前腕でも分かるぐらいにボツボツと出現していました。
なんか感動する映画1本を観た後の様な余韻に浸りました。
静かに始まり、サビで盛り上がり、更に大サビで迫力に押され、最後はまた静かでキレイな演奏で終わり…。当時はブラウン管で解像度が低いテレビでも、映像が何となくキレイに見えた様な気がしました。エモいといったら安っぽくなりそうだし、ことばにするのは難しいのですが、『未来』のパフォーマンスを観て感動しました。
『イキルサイノウ』を買った
次の日、高校の部活が終わり帰宅すると、さっそく歩いて3分ほどのところにあるゲオにTHE BACK HORN のCDを借りに行くことにしました。
お目当ては前日ビデオで観て感動した『未来』が入っている3rdアルバム『イキルサイノウ』です。ここのゲオにはこのアルバムは1枚しか置いておらず、この日はあいにくレンタル中でした。この日からしばらくゲオに通ったのですがずっとレンタル中で、早く『未来』を聴きたいので『イキルサイノウ』を買いました。確か公式サイトでサビだけは聴けましたが、フルで聴くにはサブスクもYouTubeも無い時代でしたからね。合法的に曲をフルで聴くには、物理的にCDを借りるか買うしかなかったんですよね。(『イキルサイノウ』のをレジに持っていくのに、あのジャケット写真なので、変な人と思われるのを覚悟して買いました笑)
部屋のCDコンポで歌詞を見ながら『未来』を聴きました。映像で観るよりは迫力はないですが、改めて良い曲だなぁとしみじみ思いました。ですが、私がこのアルバムではまったのは『幸福な亡骸』でした。儚い感じの曲なのですが、ヴォーカルの歌声が良い。たぶん死をテーマにした曲なので、あまり繰り返し聴きたい感じではなかったのですが、歌声が聴き心地よくてこれをずっとリピしていましたね。というか、買ってみてやっぱりとは思いましたが、尖った曲が多いこと笑 『花びら』なんかは爽やかで聴き心地良くて、野球メーカーのZETTのCMで使われていましたね。『ジョーカー』は聴いていたら何か知らないけど疲れるので、買ってしばらくはスキップしていました笑
少ないお小遣いを捻出して買ったので、もったいないから高校の通学中はずっとこのアルバムを聴いていました。(MDに落としてMDウォークマンで。懐かしい。)そしたら段々と『ジョーカー』みたいな変な曲にもハマっていってしまいました。むしろ、どろどろとした気味の悪い曲こそがこのバンドの真骨頂なんだなと気づくまでにそう時間はかからなかったです笑 最初は敬遠していた曲も、気づいたら繰り返し聴きたくなってしまうんですよね。ヴォーカル山田将司のクセは強いのですが、この人にしか歌えない、というか曲の世界観を表現できないんだと思います。曲で扱うテーマも、歌い方も、雄一無二のバンドだと思います。
何処へ行く?何処までも行く。
THE BACK HORNの曲は、人の心情をえぐる容赦ない内容のものが多いのですが、それでもバッドエンドで終わることなく、希望を見出して終わる曲が多いです。これは恐らくインディーズ時代からずっと変わっていないと思います。(曲の雰囲気は暗かったり、怖い雰囲気の曲は多いですが) 『枝』や先述の『未来』には人生は儚いけど美しいと思えるし、『戦う君よ』『ヒガンバナ』『RunningAway』『ハッピーエンドに憧れて』『果てなき冒険者』には辛いことがあっても、これらの曲が寄り添ったり後押しをしてくれたり。
2024年現在、2002年にFACTORYで出会ってから、22年ずっとファンです。
これからも長い付き合い…というか、私とTHE BACK HORN のどちらかが消滅するまでは、ずっとファンで居ると思います。
『バトルイマ』『シンメトリー』辺りで、扱うテーマは良いのですがあまり好きな路線じゃなくなったので、少し遠ざかった期間もありましたが、ほぼずっと変わらずファンをさせてもらっています。
ヴォカールの山田将司氏の喉の調子が悪い時期もありますが、今のコンディションに合わせた曲調にしているのか、聴きやすい曲が多くなった気がします。曲作りや演奏も進化していて、シンプルなバンドサウンドだけじゃなく、色々なタイプの楽曲があり、新曲のリリースがある度に新しいTHE BACK HORNに出会えます。リリースも頻繁なので未だに精力的に楽曲づくりとライブ活動をしていて、パワフルなバンドです。メンバーそれぞれがお互いを尊重している雰囲気を感じますので、尊重や寛容な気持ちが長く続けられる秘訣なのかもしれません。
地方のライブは行けていませんが、たまに節目でやるでかい会場のときは、ほぼ欠かさず参加しています。今度の7.28に日比谷野外音楽堂でやる「第5回夕焼け目撃者」も楽しみです。私の誕生日付近なので、38歳になった自分へのご褒美にライブに参加します。今回が3度目の夕焼け目撃者への参加ですが、この日だけの特別なセットリストだと思うので、今から楽しみです。
これからもTHE BACK HORN と、何処までも共にいこうと思います。

